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正しい産婦人科の選び方

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“やさしい医師”の耳障りのいい言葉には要注意

最近は、産婦人科のなかでも、妊婦さんたちの喜ぶサービスを前面に打ち出し、それを「売り」にしているような施設も目にします。

たとえば、入院中の部屋や毎日の食事が有名ホテルのディナー並みに豪華というだけを売り物にしている病院もあります。しかし、妊娠中や産後の女性に必要なのは、適切な栄養を取れるおいしい食事です。ただ見た目の豪華さだけを競って、毎日栄養バランスを無視したフルコースのような贅沢な食事ばかりしていたら、体重増加や塩分の取りすぎといった本末転倒の結果を招いてしまいます。

分娩方法にしても、鉗子分娩が得意であるとか、帝王切開が上手だとか、無痛分娩に対応しているなど、特定の分娩方式を勧めるようなやり方も多くなっていますが、私は違和感を覚えます。分娩方法というのは産科のテクニックです。産科の医師であれば、一人ひとり違う母体の状況とお産の進み方に合わせて、どのテクニックでも必要に応じて選択・実行できるべきです。

また、妊婦さんの要望を何でも受け入れますという態度の、“やさしい”医師も要注意です。妊婦さんたちは、健診などの際に何かにつけて医師に「大丈夫ですか?」と質問をします。医師に「大丈夫」といってもらい、安心したいからです。

しかし、リスクのあることはそれを正しく伝えるのが医師の役目です。

妊婦さんが通常の経膣分娩を強く希望していても、リスクが高く母子の安全のために別の方法を取るべきであれば、それを妊婦さんに伝え、よく話し合わなければなりません。ときには、妊婦さんの意に沿わないことや厳しい指導も交えながら、妊婦さんの個人差を考慮してお産のリスクを最小限にするマネジメントをしていくのが産科医の仕事です。

それを「ご希望の出産方法を尊重します」「旅行にいっても大丈夫でしょう」と、妊婦さんにとって耳障りのいい言葉ばかりを並べる医師は、言ってみれば詐欺のようなものです。ふだんは妊婦さんに迎合してやさしいことばかりいいながら、いざ危機に陥ったときには、別の医師や他の医療施設に患者さんを押し付けてしまっているような場合もあるので、注意してください。

妊娠中にもっとも大切なことは、妊婦さんの目の前の希望に沿うことではなく、母と子の命を守ることです。私たちは母子の命を守りたいからこそ、「このままでは危険だから、しっかり体重や血圧コントロールをするように」「旅行は控えてください」と、妊婦さんにとって厳しい話もはっきり伝えるようにしています。

何が起こるかわからない“命がけのお産”に真剣に向き合っているからこそ、「苦言」や「耳に痛い話」も出るのだということを、知っておいてほしいと思います。

小川 博康
監修:小川クリニック院長 小川 博康医学博士/日本産科婦人科学会専門医

昭和60年 日本医科大学卒業。同年 同大学産婦人科学教室入局。 平成9年 日本医科大学産婦人科学教室退局後、当クリニックへ帰属。 大学勤務中は、一般産婦人科診療、癌の治療を行い、特に胎児診断・胎児治療を専門としていた。「胎児に対する胎内交換輸血」 「一絨毛膜双胎一児死亡例における胎内手術」など、世界で一例しか成功していない手術など数々の胎内治療を成功させている。

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