現代において、女性が妊娠を知る手段の一つになっているのが妊娠検査薬です。
妊娠検査薬は、尿中の特定のホルモン(hCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を調べることで妊娠のサインを知るものですが、使用する時期には注意が必要です。
早ければ次の生理開始予定日の数日前に、妊娠検査薬で反応が出ることもあります。しかし、正確に検出するには、hCGホルモン量が増える次の生理予定日の1週間後以降に、検査薬を使用するのが適切です。妊娠検査薬で正しい結果を得るには、「前回の生理開始日+生理周期+1週間前後」を目安にしてください(前回の生理開始日も生理周期もわからない人は、セックスした日から3週間後を目安とする)。
適切な時期に妊娠検査薬を使って「陽性」の反応が出た場合、妊娠している確率がかなり高くなります。ただし妊娠反応があるからといって、すぐに喜ぶのは早計です。「正常な妊娠」以外でも、検査薬で陽性反応が出ることがあるからです。
妊娠の超初期に注意したいのは、次のような異常妊娠です。
・子宮外妊娠
受精卵が子宮内以外の部分に着床してしまうことを、子宮外妊娠といいます。子宮外妊娠には卵巣妊娠、卵管妊娠、間質部妊娠などがあります。気づかずにいると受精卵が着床した組織が破裂してお腹のなかで大出血が起こり、最悪の場合は母体の命に関わります。
・胞状奇胎
胎盤を構成する絨毛組織の一部が、異常に増殖してしまう病気です。増殖した組織がぶどうのような水泡状の粒になって子宮内を満たしてしまい、受精卵が育つことができないので、発見したときは病巣を搔把して取り除きます。発見が遅れると大出血を起こすこともあります。
・流産
すでに受精卵が体外に出て流産しているにもかかわらず、子宮内に胎盤の組織などが残っていて、妊娠検査薬で陽性反応が出ることがあります。これも放置していると感染症や大出血の原因になることがあるので、産婦人科で適切な処置を受ける必要があります。
こうした異常妊娠を早く知る意味でも、妊娠検査薬で陽性反応が出たら、できるだけ早く産婦人科を受診し、医師の診断を受けてください。
医学的に「正常な妊娠」といえるのは、妊娠反応が陽性でなおかつ、超音波検査によって子宮のなかに赤ちゃんの袋(胎嚢)を確認できたときです。
さらに妊娠6〜8週になって心拍のある胎芽(胎児になる前の段階)が確認できたときに、初めて医師は「おめでとうございます」と、妊娠を喜ぶ言葉を伝えます。それまでは、慎重に経過を見守るようにしてください。