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過信は危険! ネットに溢れる間違った情報

パソコンやスマートフォンが普及した最近は、妊娠・出産に関する情報をインターネットで入手するという人も多いのではないでしょうか。

しかし、こうしたネット上のウェブサイトやブログ、ツイッター、フェイスブックなどのSNSの情報は、なかなか曲者ですから注意が必要です。雑誌や書籍のような印刷物であれば、まだ校閲というチェック機能があり、そこで間違った情報や信憑性に乏しい情報はある程度、削除や修正がなされます。

ところが、ネット上の特に個人が発信しているものには、誤った情報や主観的な意見・体験、専門知識を持たない素人の憶測など、信頼性に欠ける雑多な情報が書き散らされています。なかには安易にその情報を信じて真似や追随をしてしまうと、危険なものも珍しくありません。

実際、出産にまつわる話でも、ネット上には誤った情報が大量に飛び交っています。

たとえば、出産予定日を過ぎてお産が始まらないと赤ちゃんがどんどん大きくなって難産になるので、ずっと歩き続けたり階段を上り下りしたりして、無理をしてでも自分で陣痛を誘発したほうがいいという話。

これは一見、もっともと思うかもしれませんが、無理に歩き続けてお腹が張ると、胎盤や子宮内の血行が悪くなり、危機を感じた母体は胎児を外に出そうとします。これは分娩というよりも、「排出」といったほうが適切な表現です。

胎児は、妊娠38〜39週までは体が大きくなり続けますが、それ以降はほぼ横ばいに近くなります。また胎児は自分の遺伝子に従って成長し、母体と胎児の両方の条件がすべてそろったときに、自然に分娩が始まります。正期産は妊娠37〜41週までであり、分娩が予定日を過ぎると難産になるというのはまったく根拠がありません。

もっとひどい例では、早く産みたければ焼き肉をいっぱい食べて、市販の健康ドリンク剤をガブガブ飲めばいい、そんな恐ろしい情報もあると聞きました。味の濃いタレをたくさんつけて焼き肉を大食すれば、塩分過多になって血圧のバランスがくるい、上昇します。またドリンク剤の中には糖分を非常に多く含むものがあり、妊婦がたくさん飲めば、血糖値が急上昇して一時的に糖尿病のような状態になります。

つまり焼き肉+ドリンク剤というのは、塩分や糖分の過剰摂取で母体の状態を悪化させ、胎児を出してしまう危険な行為です。それを人に勧めたり、「自分はこうして出産に成功した」などとひけらかしたりするのは、医師から見れば本当に言語道断です。

もしネット上の個人発信の情報を参考にするときは、「悪いほうの手本にする」くらいに考えていたほうが、実害がないかもしれません。

小川 博康
監修:小川クリニック院長 小川 博康医学博士/日本産科婦人科学会専門医

昭和60年 日本医科大学卒業。同年 同大学産婦人科学教室入局。 平成9年 日本医科大学産婦人科学教室退局後、当クリニックへ帰属。 大学勤務中は、一般産婦人科診療、癌の治療を行い、特に胎児診断・胎児治療を専門としていた。「胎児に対する胎内交換輸血」 「一絨毛膜双胎一児死亡例における胎内手術」など、世界で一例しか成功していない手術など数々の胎内治療を成功させている。

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