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正しい産婦人科の選び方

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【骨盤の形別】最適なお産の方法

最近では、自分らしい「最適なお産」を志向する女性も増えていますが、お産の方法というのは妊婦さんの好みで選ぶものではありません。なぜなら、身長・体重、骨格といった体格や個人差により、それぞれ妊娠中のリスクも適する出産方法も異なるからです。

まず体格では、身長が高く骨盤が大きい人のほうが、妊娠中の母体の負担が少なくなります。大柄でも小柄でも、子宮や胎児の大きさにはそれほど違いがないためです。小柄な人は腹腔の容積も小さく、子宮が大きくなることで心臓や膀胱、腸などが圧迫されるほか、一般に骨盤や産道も狭く、分娩時のリスクも高い傾向があります。

体重では、やはり“標準”が理想的で、肥満でも痩せでも標準を離れるほど、リスクが発生しやすくなります。肥満では妊娠高血圧症や妊娠糖尿病を発症しやすいほか、心臓病や腎臓病などの合併症が起こりやすくなります。分娩でも、陣痛が弱くなったり(微弱陣痛)、産道のむくみによって分娩が進みづらかったりすることもあります。

痩せている人では、体のなかの筋肉や靭帯などの支持組織が弱く、お腹が張りやすいケースがあります。極端な痩せ願望がある人では、体重増加を気にして食事を十分にとらず、胎児の成長が鈍るような場合もあります。

それからお産で大切なのは、骨盤の形です。赤ちゃんがスムーズに通れる骨産道のポイントは、骨盤の入り口と内側の通り道、そして出口の三つです。まず骨盤の入り口の形を大きく分けると円形、ハート形、細長形、扁平形の四つに分類できます。

以下の図をみてみましょう。

 

このうち赤ちゃんの丸い頭が通りやすいのが、円形とハート形です。

次に、赤ちゃんの通り道である仙骨と恥骨の角度では、角度が広いほど産道が広くなり、赤ちゃんが通りやすい道になります。この角度が狭いと漏斗(ろうと)骨盤となり、赤ちゃんが通りにくくなります。

最後が出口の部分です。骨盤を下から見て、左右から伸びる恥骨の角度が広いほど、赤ちゃんが恥骨のそばを通れるので出口にラクに向かえます。反対に恥骨の角度が狭いほど、奥の仙骨側を通らなければならず、遠廻りして出口へ向かわなくてはなりません。

つまり骨盤の形では、ただ単に骨盤の広さ・狭さだけでなく、赤ちゃんの通る骨産道がどんな状態にあるかが、お産の方法や進み具合を左右します。漏斗骨盤などで産道を通る経膣分娩が難しいと医師が判断した場合は、帝王切開になります。

こうした体格や骨盤の形に加え、年齢や性格、持病や合併症の有無、妊娠中の経過などのすべての条件を考え合わせて、ようやく「最適な出産方法」が判断できます。

友人の話で聞いた出産スタイルや、ネットや雑誌に載っていた“好み”の出産法に振り回されるのではなく、自分とお腹の赤ちゃんにとって最良の方法を、医師と相談しながら検討してください。

小川 博康
監修:小川クリニック院長 小川 博康医学博士/日本産科婦人科学会専門医

昭和60年 日本医科大学卒業。同年 同大学産婦人科学教室入局。 平成9年 日本医科大学産婦人科学教室退局後、当クリニックへ帰属。 大学勤務中は、一般産婦人科診療、癌の治療を行い、特に胎児診断・胎児治療を専門としていた。「胎児に対する胎内交換輸血」 「一絨毛膜双胎一児死亡例における胎内手術」など、世界で一例しか成功していない手術など数々の胎内治療を成功させている。

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