お腹の赤ちゃんの経過を知り、必要な健康管理をしていくために大切なのが妊婦健診です。
妊娠4カ月ごろからは4週間に一度、妊娠7カ月以降は2週間に一度、妊娠10カ月は約1週間に一度のタイミングで、妊婦健診を受けることが推奨されています。
妊婦健診で行われる検査の概要と、その目的についても知っておきましょう。
・内診
内診は、妊婦さんが内診台に上がってあおむけになり、医師が膣や子宮などの状態を目で見たり、手で触れたりして診察するものです。非常にデリケートな部分の診察になりますが、自分と赤ちゃんを守るために必要な診察の一つと考えて、リラックスして受診しましょう。
内診でチェックするのは、子宮や卵巣の大きさや形が正常かどうかです。ほかにも膣の粘膜やおりもの、子宮頸管のようすなども調べます。子宮頸管の長さや硬さを調べると早産や流産の兆候がわかります。また出産間際では、頸管がどの程度、熟化・軟化しているかで、お産の準備が現在どのくらい進んでいて、いつお産始まりそうかを予測することもできます。
・血液検査
基礎情報の部分では、ABO式の血液型と、プラスマイナスで表すRh式を調べ、胎児との血液型不適合の可能性がないか確認します。不規則抗体検査といって、母体の血液のなかに血液を壊す抗体(不規則抗体)がないかも調べます。
病気についてのチェックでは、貧血のほか、血糖値を調べて妊娠糖尿病の可能性をみます。初期〜中期にかけては、腎機能や肝機能も調べて合併症のリスクを診断します。感染症では梅毒、B型・C型肝炎、HIV、風疹、トキソプラズマなどの感染を調べます。
・尿検査
尿検査では、腎臓の働きを調べます。腎機能を調べる具体的な検査項目が、「糖」と「たんぱく」です。妊娠中の女性は、健診のたびに「-」「+」といった記録が母子手帳に書かれていると思いますが、糖が+ということは本来、血液に戻るべき糖が尿に出ていることを表します。他の診断と併せて妊娠糖尿病を疑うこともありますが、糖によって血管が傷つけられ、腎機能が落ちているサインの場合もあります。
ほかに、尿中のエストリオール(エストロゲンの一種)を調べて胎盤が正常に機能しているかを見たり、潜血・白血球などから、膀胱炎や腎臓の病気を調べたりすることもあります。
・体重測定と血圧測定
妊娠中は体重のコントロールが非常に大切になります。体重が急激に増加すると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まるほか、体重のために腰や膝に負担がかかり、腰痛や膝痛を起こすこともあります。高い血圧は、そのまま妊娠高血圧症候群を表すほか、血管に大きな負荷がかかるため、腎臓病や脳内出血などの合併症の原因になります。体重の増えすぎや高血圧は、赤ちゃんにとっても母体にとっても危険な兆候なので、十分に注意してください。